てもととしてもの譲歩
譲歩を表す「ても」と「としても」を、事実や普通の条件を受ける形と、仮に設定した状況を受ける形に分けて学びます。雨が降っても出かけます、失敗したとしても続けますなどの作り方を確認します。実際の出来事、起こり得る条件、可能性の低い仮定を見分け、話し手が示したい確実さに合う表現を選べるようになります。
譲歩(じょうほ)とは、ある条件(じょうけん)があっても、予想(よそう)とは違(ちが)う結果(けっか)になることを示(しめ)す表現(ひょうげん)です。てもは基本的(きほんてき)な譲歩、としてもは仮(かり)に設定(せってい)した状況(じょうきょう)を強く意識(いしき)する譲歩です。
基本の「ても」
動詞(どうし)はテ形(けい)に「も」を付(つ)けます。「ても」は、一般的な条件、反復する条件、まだ実現していない条件に使うのが中心です。
| 形 | 例 |
|---|---|
| 動詞のテ形+も | 雨(あめ)が降(ふ)っても、出(で)かけます。 |
| 動詞のない形+なくても | 時間(じかん)がなくても、行(い)きます。 |
| い形容詞(けいようし)のく形+ても | 高(たか)くても、必要(ひつよう)なら買(か)います。 |
| な形容詞・名詞(めいし)+でも | 静(しず)かでも、ここでは眠(ねむ)れません。 |
な形容詞・名詞には、硬い書き言葉で**〜であってもも使えます。学生であっても利用(りよう)できますのように言います。〜にしても**は「その場合を取り上げても」という意味(いみ)で、学生(がくせい)にしても規則を守る必要がありますのように使います。
- 毎年(まいとし)雨が降っても、試合(しあい)は行(おこな)われます。
- 少(すこ)し遠(とお)くても、この店(みせ)へ行きたいです。
- 日曜日(にちようび)でも、父(ちち)は仕事(しごと)をします。
- 会場(かいじょう)に行かなくても、オンラインで参加(さんか)できます。
- 学生でなくても、利用できます。
過去の一度(いちど)の事実について、予想に反する結果を述べるときは のに が自然(しぜん)です。昨日は雨が降ったのに出かけました のように言います。△昨日は雨が降っても出かけました は不自然になりやすく、雨が降っても出かけます のような一般的・未実現の条件には「ても」が合います。
仮定を明確にする「としても」
普通形(ふつうけい)+としてもは、「仮にそうだと考(かんが)えても」という意味です。まだ事実か分からないことや、可能性が低い極端(きょくたん)な例を設定するときに向いています。
| 前の形 | 例 |
|---|---|
| 動詞の普通形 | 失敗(しっぱい)したとしても、もう一度挑戦(ちょうせん)します。 |
| い形容詞の普通形 | 難(むずか)しいとしても、方法(ほうほう)はあります。 |
| な形容詞・名詞+だ | 無理(むり)だとしても、理由(りゆう)を聞(き)きたいです。 |
「としても」の前では、な形容詞と名詞に「だ」が必要です。学生だとしても、元気(げんき)だとしてものように作(つく)ります。
ル形の失敗するとしてもは、これから起こる可能性を仮定します。タ形の失敗したとしてもは、過去の出来事を表すのではなく、主節の時点でその出来事が実現している(完了している)と仮定します。失敗したとしても、もう一度挑戦しますは、未来の話です。
確実さの違い
「ても」は幅広(はばひろ)く使えます。「としても」は、話し手(はなして)が一度その状況を仮に置(お)く感じを加(くわ)えます。
| 文(ぶん) | とらえ方 |
|---|---|
| 忙(いそが)しくても、連絡(れんらく)します。 | 忙しい場合にも連絡するという普通の条件です。 |
| 忙しいとしても、短(みじか)い返事(へんじ)はできます。 | 話し手は忙しいとは限(かぎ)らないが、仮にそうでも成り立つと考えています。 |
| 百万円(ひゃくまんえん)もらっても、売(う)りません。 | 強い条件ですが、基本の譲歩です。 |
| 百万円もらったとしても、売りません。 | 話し手は実際には起こらないかもしれない場面を仮定しています。 |
後ろに変わらない結果を置く
どちらの形でも、後ろには前の条件に左右(さゆう)されない結果や判断を置きます。
- 疲(つか)れても、約束(やくそく)の時間に行きます。
- 反対(はんたい)されたとしても、計画(けいかく)を説明(せつめい)します。
- 有名(ゆうめい)だとしても、その人の意見(いけん)が正しいとは限りません。
前の条件から自然に同じ方向の結果が出る文では、譲歩になりません。予想に反する関係があるかを確認(かくにん)します。
- ✗ 雨が降っても傘をさします。→ 降るならさすのが自然で、逆接になりません。○ 雨が降っても傘をさしません。(さすはずなのに、ささない)
- ✗ 安ければ買います。→ 条件と結果が同じ方向なので譲歩になりません。○ 安くても買いません。(安ければ買うはずなのに、買わない)
- ○ 高くても買います。(高いなら買わないはずなのに、買う)
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疑問詞・程度を強める「ても」
疑問詞+てもやいくら/どんなに〜てもで、条件を強く広げられます。たとえ〜ても/たとえ〜としてもも、「仮にその条件でも」という意味を強く示す定型表現です。
- いくら説明しても、わかってもらえません。
- どんなに高くても買います。
- たとえ雨が降っても、出かけます。
- たとえ失敗したとしても、もう一度挑戦します。
- 誰が来ても、会議を始めます。
- 何を言っても、彼は考えを変えません。
- どこへ行っても、この町のことを忘れません。
- いつ行っても、店は混んでいます。
形が似る表現と分ける
許可(きょか)の「〜てもいいです」
〜てもいいですは譲歩ではなく、許可を表します。写真を撮ってもいいですかは許可を求める文で、人が多くても写真を撮りますは譲歩の文です。形が似ていても、後ろに来る述語で意味が決まります。
「〜ても〜ても」の繰り返し
同じ形を重ねると、どの場合でも結果が変わらないことを示します。
- 行っても行かなくても、結果は同じです。
- 高くても安くても、品質は変わりません。
「としても」と「にしても」
| 形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 〜としても | 可能性の低い仮定を置いて譲歩する | 学生だとしても、料金を払います。 |
| 〜にしても | いくつある場合から一つを取り上げて「その場合でも」と言う | 子どもにしても、同じ規則が当てはまります。 |
にしてもは、基本の「ても」の節で見たように、実際の場合を一つ選ぶ形です。としてものように、極端な仮定を強調する感じは弱くなります。
使い分けの手順
- 前の内容が事実、または普通に考えられる条件かを見ます。
- 基本の譲歩なら「ても」を選(えら)びます。
- 仮の状況として明確に設定したいなら「としても」を選びます。
- 後ろに、条件があっても変わらない結果を続(つづ)けます。
迷(まよ)ったときは、文の前に「仮に」を入れて自然なら「としても」が合いやすいです。ただし「ても」も仮の条件に使えるため、違いは絶対的(ぜったいてき)ではありません。
形を確認する
| 伝えたいこと | 形 |
|---|---|
| 事実や普通の条件を受ける譲歩 | ても・でも |
| 仮の状況を明確に置く譲歩 | 普通形+としても |
| 場合を一つ取り上げて譲歩する | 〜にしても |
| どの場合でも結果が変わらない | 〜ても〜ても |
| 許可を表す(譲歩ではない) | 〜てもいいです |
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譲歩を表す接続表現
13 wordsLast updated October 11, 2026