C2 · ProficientLesson 3 of 4

にせよ・にしろと複数の仮定

「にせよ/にしろ」で一つの可能性を仮に認めても結論が変わらないことを示し、「甲にせよ乙にせよ」で複数の選択肢を越える判断を作ります。動詞・形容詞・名詞への接続、否定との対称性、選択肢の範囲、語調を整理します。属性を例示して普遍的原則を述べる「であれ」と比較し、単独形と並列形の作用域を読み分けます。

By the flumi team About 2 min read 9 vocabulary wordsGrammar learning path: 結果不変・例示・複数仮定・特別前提

にせよ/にしろは、ある事態を仮に認めても、後ろの判断・必要・評価は変わらないと示す譲歩条件(じょうほじょうけん)です。単独で一つの仮定を置くほか、甲にせよ乙にせよの形で複数の可能性を並べられます。

一つの仮定を認めて先へ進む

単独形は、「Aが事実だと断定する」のではなく、「仮にAだとしても」という前提を受け入れます。後件には、その前提に左右されない助言、義務、評価などを置きます。

参加しないにせよ、期限までに返事はしてください。

計画に反対するにしろ、代案を示す必要があります。

  • 相手の選択を仮に認め、最低限必要な行動を示す。
  • 真偽が未確定の前提を置き、それでも変わらない判断を述べる。
  • 一つの立場を認めたうえで、その限界や責任を指摘する。

普通形と名詞に接続する

動詞(どうし)とイ形容詞には普通形(ふつうけい)を続けます。名詞は直接続けられ、名詞とナ形容詞には「である」を介する改まった形もあります。静かにしろは命令ですが、静かであるにしろ、規則は守るべきですは譲歩です。後件があるか、「である」を入れられるかで見分けます。

受ける要素 形 例
動詞 普通形+にせよ/にしろ 引き受けるにせよ、条件を確認すべきです。
動詞のタ形 タ形+にせよ/にしろ 一度は同意したにせよ、条件は再確認すべきです。
イ形容詞 普通形+にせよ/にしろ 費用が高いにせよ、根拠の説明は必要です。
名詞 名詞+にせよ/にしろ 初心者にせよ、規則は守らなければなりません。
名詞・ナ形容詞 である+にせよ/にしろ 暫定的であるにせよ、正式な記録に残ります。

「にしろ」は「にせよ」より会話にも現れやすく、文脈によっては断定的・強めの響きがあります。「にせよ」は論説や改まった議論で選ばれやすい傾向がありますが、意味の境界は絶対ではありません。

二つの可能性を並べる

AにせよBにせよは、AとBのどちらを選んでも後件が成立すると示します。肯定と否定、賛成と反対など、同じ判断軸(はんだんじく)の選択肢を対応させます。

提案を採用するにせよ、見送るにせよ、判断の理由を公開すべきです。

成功にしろ失敗にしろ、検証の記録は残ります。

並べ方 範囲 例
肯定/否定 行動する場合としない場合 出席するにせよしないにせよ
二つの評価 対立する見方 賛成にしろ反対にしろ
程度の両端 中間も含む広い範囲 大規模にせよ小規模にせよ
疑問語を含む定型 候補全体 いずれにせよ・どちらにしろ

並列形では、二つの要素を同じ文法的な形にそろえると作用域(さよういき)が明確です。「採用するにせよ、見送りにせよ」より、「採用するにせよ、見送るにせよ」と対応させます。

選択肢の範囲を読み過ぎない

二つの例が、その場の選択肢をすべて表す場合もあれば、両端や代表例を示して中間まで含ませる場合もあります。文脈から範囲を判断します。

  • 「可決にせよ否決にせよ」は、採決の二結果を尽くす場合があります。
  • 「経験が長いにせよ短いにせよ」は、その間のさまざまな長さも含みます。
  • 「何にせよ」は内容を特定せず、後件を先に進める談話的な定型です。

並べた選択肢で後件が変わるなら、この構文は使えません。「合格にせよ不合格にせよ、合格なら発表します」は不自然です。条件ごとに結果が違うなら、「合格なら発表し、不合格なら通知します」と分けます。

Quick check

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1
担当者がその条件をにせよ、契約書の確認は省けません。

Check your answer when you are ready. No sign-in needed.

「であれ」と焦点を比べる

であれも譲歩条件を表しますが、名詞・ナ形容詞で属性や区分を例示し、それさえ例外にしない原則を述べるのに向きます。にせよ/にしろは動詞や形容詞にも広く接続し、検討中の選択や仮定を認めて論を進めます。

形式 得意な前件 焦点
にせよ/にしろ 行為・状態・選択肢 仮定を認めても判断は変わらない
であれ 属性・立場・区分 一例を越えて原則を適用する

論説文では常体も使われますが、ここでは他の例に合わせて丁寧体で示します。「責任者であれ、規則には従うべきです」は立場を例外にしない原則です。「責任者が決めるにせよ、会議で決めるにせよ、記録は必要です」は決定方法の複数案を扱います。

「にしても」「としても」と比べる

形式 使う場面 例
にせよ 書き言葉で仮定を認める 反対されたにせよ、手続きは進みます。
にしても 会話でも使う譲歩 反対されたにしても、説明は必要です。
としても 反実的な仮定を強く置く 反対されたとしても、計画を進めます。

論説ではにせよ、日常的な譲歩にはにしても、実際とは異なる可能性も強く想定するならとしてもが合います。

前件と後件の範囲を点検する

  1. 単独形なら、前件を事実ではなく仮定として扱っているか確認します。
  2. 並列形なら、選択肢を同じ軸・同じ形で並べます。
  3. どの選択肢でも後件が変わらないか確かめます。
  4. 属性を例示して普遍的な原則を述べるなら「であれ」も検討します。
  5. 会話の強さと文章の改まり方から「にしろ」「にせよ」を選びます。

にせよ/にしろは、可能性を並べること自体より、それらを越えて成立する判断を示す形式です。何を仮定し、後件がどの範囲に及ぶかを明示します。

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Last updated October 11, 2026