受身形と尊敬表現の区別
レル・ラレルが受身と尊敬の両方を表す仕組みを学び、主語が動作を受ける側か、敬意を向ける動作主かを助詞と文脈から判定します。対象がは・がになり動作主をにで示す受身、尊敬する人がは・がのまま目的語ををで取る形、来られる・読まれるなど曖昧な文、いらっしゃる・お読みになるによる明確化を例で確認します。
動詞(どうし)のレル・ラレルには、受身(うけみ)、尊敬表現(そんけいひょうげん)、可能(かのう)、自発(じはつ)という四つの働きがあります。自発は「思い出される」「案(あん)じられる」のように、自然にそう感じることを表します。このページでは、特に受身と尊敬表現の区別を扱い、後で可能との曖昧さにも触れます。
区別(くべつ)の鍵(かぎ)は、主語(しゅご)が動作を受ける人・物なのか、それとも敬意(けいい)を向ける動作主なのかを確かめることです。
一 同じ形で二つの働き
「読まれる」は「読む」の受身形(うけみけい)であると同時に、「お読みになる」に近い尊敬の形にもなります。
| 働き | 文 | 主語の役割(やくわり) |
|---|---|---|
| 受身 | この本は先生に読まれました。 | 本が読む動作を受ける |
| 尊敬 | 先生はこの本を読まれました。 | 先生が読む動作をする |
部長(ぶちょう)が資料(しりょう)を読まれました。
「部長」が読む人であり、敬意を向ける相手なので尊敬表現です。
資料が部長に読まれました。
「資料」が読む動作を受けるので受身です。
尊敬のレル・ラレルの作り方
尊敬のレル・ラレルは受身形と同じ形です。形だけで決めず、助詞と文脈を確認します。
| 動詞の種類 | 辞書形 | 尊敬のレル・ラレル |
|---|---|---|
| 五段動詞 | 書く | 書かれる |
| 一段動詞 | 見る | 見られる |
| 来る | 来る | 来られる |
| する | する | される |
尊敬のレル・ラレルは、自分や身内の動作を高めるためには使いません。また、お読みになられる のように尊敬表現を重ねる二重敬語にも注意します。食べられる・見られる は可能の意味と衝突しやすいため、重要な場面では 召し上がる・ご覧になる を選ぶと安全です。
二 受身の助詞の枠
直接受身(ちょくせつうけみ)では、能動文(のうどうぶん)の対象(たいしょう)が「は・が」になり、元の動作主は普通「に」で示されます。
| 能動文 | 受身文 |
|---|---|
| 先生が作文(さくぶん)を褒(ほ)めました。 | 作文は先生に褒められました。 |
| 記者(きしゃ)が社長を取材しました。 | 社長は記者に取材されました。 |
受身か迷ったら、「誰がその動作をしたか」を探します。動作主が「に」で示され、主語がその動作を受けていれば受身です。
動作主が省略(しょうりゃく)される受身もあります。「新しい制度(せいど)が発表されました」では、制度は発表する側ではありません。
三 尊敬表現の助詞の枠
尊敬のレル・ラレルでは、敬意を向ける人自身が動作主です。その人は「は・が」で、動作の対象は元の「を」のままです。
| 普通の文 | 尊敬表現 |
|---|---|
| 先生は本を読みました。 | 先生は本を読まれました。 |
| 社長が会議(かいぎ)で話しました。 | 社長が会議で話されました。 |
尊敬のレル・ラレルは、特別な尊敬語より少し軽い敬意を表すことがあります。場面や地域(ちいき)によって使用の自然さにも差があります。
四 来られるの解釈
「来(こ)られる」も複数の意味を持ちます。助詞と文脈(ぶんみゃく)を見ます。
- 先生が会場(かいじょう)に来られました。――先生を高める尊敬表現です。
- 私は急に先生に来られて、準備が間に合いませんでした。――先生の来訪(らいほう)から影響を受ける間接受身です。
- 先生は明日来られます。――文脈によって尊敬または可能(かのう)に読めます。
最後の文は形だけでは決まりません。可能の意味なら、雪でも来られますか。 のように、条件や能力を問う文脈になりやすいです。「先生の予定」を丁寧に述べるなら尊敬になりやすいです。
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五 曖昧さを避ける
主語や目的語が省略されると、「先生が褒められました」のような文は二通りに読める場合があります。先生が誰かに褒められた受身か、先生が誰かを褒めた尊敬かは、文脈が必要です。
重要な案内(あんない)や報告(ほうこく)では、形だけに頼らず主語・対象・動作主を明示(めいじ)するか、別の尊敬語を選びます。
| 曖昧になり得る形 | 明確な尊敬表現 |
|---|---|
| 先生が来られました。 | 先生がいらっしゃいました。 |
| 部長が資料を読まれました。 | 部長が資料をお読みになりました。 |
| 社長が昼食を食べられました。 | 社長が昼食を召(め)し上がりました。 |
六 判定の手順
次の順番で文の役割を確認(かくにん)します。
- 主語は、動作をする人ですか、受ける人・物ですか。
- 動作主が「に」で示されていますか。
- 目的語の「を」が残り、主語が敬意を向ける人物なら、尊敬の可能性を考えます。
- 「来られる・食べられる」では、可能の意味も文脈から確認します。
- 誤解の恐れがあれば、特別な尊敬語や「お~になる」で言い換えます。
この報告書(ほうこくしょ)は部長に確認されました。――受身です。
部長はこの報告書を確認されました。――尊敬表現です。
まとめ
- 同じレル・ラレルでも、主語の意味役割と助詞の枠は異なります。
- 受身は受け手中心、尊敬表現は敬意を向ける動作主中心です。
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受身・尊敬を区別する表現
6 wordsLast updated October 11, 2026